北海道女性医師の会 総会報告

 令和3年度北海道女性医師の会総会を4月17日に行いました。総会議事は賛成多数により可決され、年度計画の通りに今年も活動をしていくこととなりましたが、多くの活動は感染流行を考えながら、適宜フレキシブルな対応をしていくこととなります。

 また、活動の多くをオンラインとしていますため、今後は多施設間協力、メディアと協働をしながらのコンテンツ作成も検討して参ります。


 総会講演会では、共催:大塚製薬株式会社ニュートラシューティカルズ事業部のご協力をいただき、下記の通り昨年度COVID-19感染流行(緊急事態宣言含む期間)のため、御講演が本年度に延期となり、感染対策を十分に配慮しオンライン開催として対応させて頂きました。


 下記に報告を掲載いたします。




講演①:スクールカウンセラーとは?~子供が抱える問題と支援について~

演者:青陽 千果 先生(札幌市スクールカウンセラー)

講演座長:寺本 瑞絵 先生

略歴:臨床心理士・公認心理師。医療領域(精神科)での勤務を経て、2012年より北海道 大学病院精神科神経科および札幌市スクールカウンセラーで勤務。医療領域では、心理士と して、 主に心理面接や心理検査の経験を積んだ。2018年から札幌市スクールカウンセラー (小中学校計6校)で勤務している。


北大病院の青陽千果先生から、スクールカウンセラーの歴史、業務内容、相談内容などに関して非常にわかりやすく、丁寧にご講演いただきました。


【ご講演内容】

<北海道のスクールカウンセラーの歴史>

1990年代に文科省研究委託事業から始まり、2005年には札幌市立の中・高等学校全校配置、さらに2007年に小学校全校配置となったが、まだ認知度は低く、カウンセラーが介入となってから認知されることも多いのが実情である。


<スクールカウンセラーの業務内容・資格>

スクールカウンセラーは、学校現場で、子供や保護者などの心のケアや支援を行う。教師と異なる視点から、不登校や問題行動の改善に取り組む。外部性、第三者性が大切であり、また、自然災害時(胆振東部地震など)の児童の心のケアにも関与する。個別面談や教員への助言、教員から相談があれば授業観察などを行う。医療や福祉につなげるトリアージの役割を担い、その他、教員への研修、児童生徒への教育プログラム、PTA講演会講師、多機関連携、ケース会議、学校の相談体制への助言、啓蒙活動を行う。

スクールカウンセラーとして有する資格としては、臨床心理士、公認心理師、精神科医、大学教員など臨床心理に関する専門知識を有するものである。


<臨床心理士について>

臨床心理士は、心理面談、心理アセスメント、コンサルテーション・環境調整(必ずしも直接対話が含まれない)、臨床心理学研究をメインとして行う。臨床心理学の知識や諸技法を活かして専門的な援助を行う。


<相談内容>

不登校や、友人関係のトラブルなど、また学習障害についてなど。最近はSNSのトラブルも相談内容に上がる。その個々人が何に困りを感じているかを把握し、対応する。


<スクールカウンセラー活用の問題点>

時間の不足、不安定な身分(非常勤の雇用形態、3年毎の交替など)、学校の体制や、質の担保(質や経験の相違など)、地域への拡充不足(人員不足)などが挙げられる。


質疑応答も非常に活発に行われました。不登校やいじめ、友人関係のトラブル、発達障害など多岐に渡る面談や教師への助言など、スクールカウンセラーに期待される役割は非常に多く、配置人員や時間数の増加が必要であると思われました。また、スクールカウンセラーが、その専門性を活かし継続した活動を行うためには、安定した勤務条件・雇用形態の検討や、質の担保のためのスーパーバイザーの配置も重要だと考えました。



講演②:働く女性のヘルスケア~明日から役に立つ更年期対策~

演者:寺本 瑞絵 先生(NTT東日本札幌病院 産婦人科部長) 

講演座長:長井 桂 先生

略歴:NTT東日本札幌病院 産婦人科部長。1974年函館生まれ。札幌医科大学産婦人科講師を経て、平成31年から現職。現在は、思春期~周産期、アスリート支援、婦人科腫瘍、遺伝性疾患など幅広く、診療、研究にあたっている。


【ご講演内容】

・少子高齢化により女性の生涯月経回数が増加している。

・女性特有の月経随伴症状は、その社会経済的負担や労働損失が問題となっている。女性の健康課題に対応し、女性が働きやすい社会環境の整備を進めることが企業の生産性向上や業績向上に結び付くと考えられる。

・月経困難症は慢性疼痛やQOL低下といった現在ある症状に焦点をあてがちであるが、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などが将来的に生じる可能性があり、さらに癌や貧血、血栓症などその先に起こりうる問題点を考える必要がある。

・更年期は閉経前の5年間と閉経後の5年間とを合わせた10年間と定義される。

・更年期外来では診察や血液検査などで器質的疾患の除外を行い、心理テスト、更年期簡略スコア等で評価、カウンセリングを行う。

・更年期障害の治療としては薬物療法(ホルモン補充療法(HRT)、漢方療法、向精神薬(SSRI/SNRIなど))と非薬物療法心理療法カウンセリング・認知行動療法、食事・運動療法(生活習慣の改善)がある。

・エクオールとは、エストロゲンによく似た働きをする成分で、エストロゲン受容体に結合することにより、エストロゲン様作用を示すと言われている。他の大豆イソフラボン類及びその代謝物の中では活性の高い化合物である。

・更年期の変化に対応するためには「更年期とは変化のプロセスである」ことを理解し知ることが第一歩である。

・そのうえで生活習慣を改善する「セルフケア」、自分のニーズに気づき、自分のリクエストを伝える「コミュニケーション」、自分に合った適切な治療法を選ぶ「医療」につなげるのが大事。


ご講演を拝聴し、月経困難症が及ぼす心理社会的損失や将来的な問題点があるということが分かりました。また、更年期という誰もが経験する体の変化に対し、月経困難症と同様に女性特有の症状を我慢する必要はないということを教えていただきました。